認知症になった親の不動産を売却!手続きの可否・トラブル・対処法を解説

久保 毅明

筆者 久保 毅明

不動産キャリア9年

東大阪市を中心に、売却取引件数は年間約80件以上。東大阪の会社にて2015年から3年賃貸仲介業を、2018年から4年売買仲介業を学んだのち、2022年に株式会社SR総合不動産販売を設立。9年の不動産経験と税務・登記・残置物処分などの専門家ネットワークを活かし、複雑な売却も一貫してサポート。【迅速な対応・的確なご提案・安心のお取引】を大切にお客様に最適なプランを提案している。

認知症になった親の不動産を売却!手続きの可否・トラブル・対処法を解説

親の不動産を売却したいものの、本人がすでに認知症となっており、手続きを通常どおりにおこなえるのか不安に感じる方も多いでしょう。
持ち主の認知症が手続きにどう影響するかを確認すると、売却の見込みを判断しやすくなります。
そこで今回は、親の不動産を売却するうえで知っておきたい認知症の影響にくわえ、主なトラブルと成年後見制度も解説します。

不動産を売却できない?親の認知症がもたらす影響

不動産を売却できない?親の認知症がもたらす影響

親の不動産を売却するうえで知っておきたい認知症の影響は、以下のとおりです。

持ち主が認知症になっているケース

持ち主である親が認知症になっていると、通常の方法では不動産を売却できないのが基本です。
不動産の売却では、持ち主に意思能力が求められます。
意思能力とは、自分の行動によって生じる、法律上の結果を判断する能力です。
相応の意思能力がないと、不動産を売却する意味が正しく認識されていないおそれがあります。
そのため、意思能力のない方が締結した売買契約は、原則として無効です。
有効な売買契約を持ち主が締結できない点から、すでに認知症となった親の不動産は、通常の方法で売却できません。
ただし、認知症となったあとの意思能力は、病状によって変わります。
親の認知症がまだ軽く、十分な意思能力が保たれているなら、通常の方法で不動産を売却できる可能性があります。

代理での手続きはできないのか

不動産の売却は、持ち主以外でもおこなえる可能性があります。
代理人を立てれば、持ち主が自分で手続きを進められない状況でも、不動産を売却できます。
しかし、持ち主である親が認知症になっていると、代理人を立てる方法は使えません。
持ち主以外の方が不動産を売却するには、委任状が必要です。
委任状がないと、たとえ持ち主と同居している長男でも、代理人とはみなされません。
そして、持ち主に十分な意思能力がない場合、有効な委任状が作れず、子どもを代理人とする旨を公的に示せません。
そのため、親が認知症になると、子どものほうでも不動産を売却できない状態となってしまいます。

名義変更の可否

現在の持ち主が自分で不動産を売却できない場合、事前に名義変更をおこなうのがひとつの方法です。
贈与などで、不動産の名義人を親から子どもへと変更すれば、以後は新たな持ち主となった子どものほうで売却手続きをおこなえます。
しかし、現在の持ち主である親が認知症になっていると、名義変更による売却方法は使えません。
持ち主に一定の意思能力が保たれていない限り、不動産の名義変更自体ができないため、売却も頓挫してしまいます。

親が認知症になった場合に懸念される不動産の売却トラブル

親が認知症になった場合に懸念される不動産の売却トラブル

親が認知症になった場合、不動産の売却に関するトラブルがいくつか懸念されます。
主なトラブルと防止法は、以下のとおりです。

親の不動産を子どもが勝手に売却する

親が認知症になった場合、本人にはもう不動産が不要だと判断し、子どもが建物や土地を勝手に売却してしまうことがあります。
親の不動産を子どものほうで売却できるのは、すでに生前贈与を受けているなど、一部のケースに限られます。
たとえ持ち主が認知症になっていても、子どもが親の不動産を正当な理由なく売却するのはNGです。
もし勝手に売却すると、親が亡くなった時点で相続権を得る親族から、訴訟を起こされるおそれがあります。
トラブル防止のため、たとえ親が認知症になっても、勝手に不動産を売却しないことが大事です。
また、将来の相続財産を勝手に処分されないよう、兄弟姉妹や親族の行動にも注意しておきましょう。

親族とトラブルになる

親が認知症になっている場合、介護費用を捻出する目的で、不動産を売却することがあります。
しかし、介護費用を目的としたやむを得ない行為でも、親族が同意するとは限りません。
親族間での話し合いや連絡が不十分だと、不動産の売却で親族同士のトラブルに発展することがあります。
介護費用の負担が重く、親の不動産を売却せざるを得ない場合でも、将来の相続人となる親族まで事前に相談し、同意を得ましょう。
また、売却金の使い道がわかるよう、介護施設の資料や購入品の領収書などは、すべて保管しておくことをおすすめします。

そのほかのトラブル防止法

持ち主である親の認知症が軽度でも、不動産を売却すると、取引当時の意思能力を将来的に問題視されるおそれがあります。
あとで売却を無効とされないよう、意思能力の証拠を確保しておくことが大事です。
十分な意思能力が見られる旨の診断書を医師からもらっておけば、取引当時の持ち主の状態を客観的に証明できるため、安心です。
また、将来の相続トラブルを防ぐため、親が亡くなった時点で相続人となる方の全員から、不動産の売却について同意を得ておきましょう。
全員から同意を得たら、合意内容を書面にまとめておくことをおすすめします。

成年後見制度なら不動産が売却可能に?親の認知症への対処法

成年後見制度なら不動産が売却可能に?親の認知症への対処法

先述のとおり、親が認知症になると、本人の不動産を売却できなくなります。
しかし、成年後見制度を使えば、親の意思能力が低下したあとでも、不動産を売却できるケースがあります。
成年後見制度の概要や不動産を売却する条件は、以下のとおりです。

成年後見制度の概要

成年後見制度とは、認知症などになった方に後見人が付き、契約手続きや財産の管理などをサポートするものです。
選任された後見人は、認知症となった方が誤って結んだ契約の取り消しも可能であり、さまざまな面で本人をサポートします。
ただし、成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があり、それぞれで内容が少し変わります。
親が認知症になってからでも利用できるのは、法定後見制度のほうです。
任意後見制度は、本人が認知症となる前に、自分で後見人を決めておくものです。
本人が認知症となった時点で利用の準備が終わっていないと、任意後見制度は使えません。
準備が十分に整っていないなかで親が認知症となったなら、法定後見制度を使いましょう。

後見人になれる方

法定後見制度で後見人となれるのは、認知症となった方の親族のほか、弁護士・司法書士・社会福祉士などです。
各候補者のうち、最終的に誰が後見人となるかは、家庭裁判所が判断します。
後見人の人選について希望は出せますが、最終的に誰が選ばれるかはわかりません。
家庭裁判所が各候補者の職業や経歴、被後見人との関係などをふまえ、ふさわしい方を選びます。
希望とは異なる方が後見人に選ばれても、不服の申し立てなどはできない点に注意が必要です。

後見人が不動産を売却できる条件

成年後見制度を通じて選任された後見人は、持ち主に代わって不動産を売却できる可能性があります。
しかし、持ち主と同等の権限を有するわけではなく、売却には一定の制限があります。
不動産の売却をおこなえる条件のひとつは、持ち主の利益につながることです。
介護施設への入所費用を捻出するための売却などなら、正当だと認められる可能性があります。
また、居住用の不動産は持ち主に与える影響が大きいため、売却には家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所の許可を得ずにおこなった売却は、原則として無効とされます。

まとめ

認知症となった親の不動産は、持ち主に十分な意思能力が見込めないため、売却できないのが基本です。
また、親が認知症になると、子どもが正当な理由なく勝手に不動産を売却してしまい、売却をめぐって親族同士で対立するなどのトラブルが起こりえる点に注意しましょう。
成年後見制度を利用すると、認知症となった親に後見人が付き、本人に代わって不動産を売却できることがあります。

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